今回は、FXトレードで最も重要な資金管理法について解説したいと思います。
FXが娯楽になるのか?仕事になるのか?この境界線を分けるのが資金管理です。
FXを仕事としてやっていく上で資金管理は必須のスキルとなりますので、是非あなたの血肉にしてください。
私が資金管理で最も注意していることは、分割でエントリーして、バランス良く柔軟に相場に対応することです。
分割エントリー、つまり計画されたナンピンこそ、資金管理法の究極体系になります。
ナンピンに関しては正解というのがなく、相場によって臨機応変に対応する柔軟力が問われます。
自分の「相場観」というのがとても重要になってきます。
この、自分の相場観を身につけることが、トレーダーとしての最大の使命と言っていいでしょう。
巷の書籍を見ると、自分の相場観は捨てろ!などと書かれていますが、今の時代は、相場観を捨てたトレードの場合は自動売買の方がいい成績を上げます。
つまり、相場観を捨てるなら、裁量トレードはやめたほうがよいのです。
負け組トレーダーは、自動売買の方が優秀なステージで必死に戦っています。
勝ち続けている常勝トレーダーは、自動売買がまだ立ち入ることの出来ない領域(相場観)で戦っているのです。
初心者のうちから自分の相場観を100%信頼してトレードすることはだめですが、どうか初心者のうちから相場観を磨くということを意識してください。
自動売買でいいようなことをする裁量トレーダーには未来はありません。
自動売買でも、他のトレーダーにも真似できないような唯一無二のトレーダーを目指していただきたいと思います。
FX相場で生き残るためのたった1つの原則
FX相場で生き残るためには、あるたった1つの原則を守り続ければいいのですが、大多数のトレーダーがこの原則を守ってないゆえに、日々相場から姿を消していっているのです。
その原則とは、『損は小さく、利は大きく』です。
この原則をひたすら守れば、相場の世界では生き残ることが出来ます。
大衆の負け組トレーダーがなぜこの原則を守ることが出来ないのか?
その答えは、負け組トレーダーほど勝率を上げることにこだわることです。
FXトレードで勝ち続けるためには、実はあまり勝率は必要ありません。
1回の勝ちトレードで損失の2倍以上取れるなら、33%以上の勝率があれば利益が出るのです。
高い勝率を長い期間キープし続けることは、不確定要素の強い相場の世界では不可能です。
長くトレードを続けていればいるほど、勝率は五分五分に落ち着いてきます。
しかし、巷ではどれだけの金額を稼ぐか?よりも、どれだけ相場の方向を当てたのか?にフォーカスしてしまう人が非常に多いです。
これはFXの本質からだいぶ離れています。
上昇トレンドの中でも、短期的な下降を狙ったショートで稼ぐことは我々逆張りトレーダーにとっては日常茶飯事であり、方向なんて儲かればどっちでもいいのです。
FXの本質は口座の資金を増やすことです。
決して相場の方向を当てることではありません。
お金を儲けるためにFXをやるのか、上がるのか下がるのかを予言するためにFXをやるのか、この選択が天国と地獄の分岐点なのです。
もし、あなたがお金を儲けるためにFXをやるのであれば、何回当たって何回外したかにフォーカスするのではなく、どれだけの金額を取って、どれだけの金額を捧げたのかにフォーカスしてください。
この原則をしっかりと守る限り、大きく負ける可能性が極めて減ります。
つまり、生き残ることが出来ます。
相場の世界でしっかりと生き残ることができれば、いつか大相場をモノにできる日が訪れます。
つまり、生き残ることができれば、相場が大きく動くときにもしっかりと相場に参加できるので、必然的に大きく勝つ可能性も上がるのです。
儲けることよりも、まずは生き残ることにフォーカスすることが、儲けるための一番の近道なのです。
相場の世界で1点張りは猿がすること!必ず分割で入るべし
例えば、1回のトレードでの限界リスクが運用資金の2%だとします。
大多数の負け組トレーダーは、ピンポイントで一気に2%を投下してしまうのです。
これは相場の世界では絶対にやってはいけないことです。
プロのトレーダーは必ず相場には小さい玉から入ってきます。
小さい玉で相場に入って、相場の雰囲気を肌で感じつつ、本当に勝負するべきところで一気に本玉を打ち込むのです。
1回のトレードでの限界リスクが2%のトレーダーであれば、まずは0.5~1%程度の玉からエントリーして相場の雰囲気を肌で感じてください。
実際に自分のお金をかけている状態で見る相場と、お金をかけないで見る相場とでは、やはり見えてくるものが違ってくるのです。
ここで、FXの神様ジョージ・ソロス氏の発言をご覧ください。
ソロスが「債権を3 億ドル買いたいから、とりあえず5000 万ドル売ってみよう」
と言った。「3 億ドル買いたいんでしょう」とマルケス(ソロスの部下)は確認した。
「そうだ」とソロス。「でも、まず相場の感触を確かめたいんだ」
ソロスはこれを『市場の声を聴く』と表現しています。
ソロスのように反対側でエントリーする必要はありませんが、小さくエントリーしてまずは市場の声を聴くことが何よりも大事です。
1回のトレードでの限界リスクをピンポイントで張った場合、エントリーした後にできることは、掌を合わせて祈ることくらいです。
しかし、エントリーポイントをピンポイントではなくゾーンで捉えて、そのゾーンの中で予め分割でエントリーする計画をしっかりと建てていると、
多少下がってきても、まだエントリーゾーンの中に価格があれば、玉を追加することができるのです。
武器としてのナンピンを極める
まずは小さい玉から相場に入ることを説明しましたが、次は小さく入った後、どのようにして本玉を追加していくのかを解説したいと思います。
巷では、ナンピンは危険行為と言われ、相場で絶対にしてはいけないこととして非常に有名ですが、それはナンピンをするそのトレーダー自身が危険なだけであって、ナンピン自体は決して危険行為ではありません。
むしろ、しっかりと管理されたナンピンは最強であり、不確定要素の強いFX相場に柔軟に対応する戦略はナンピン以外ありません。
ナンピンをする上で絶対に明確にしなければならないことが、
- 何分割するのか?
- ナンピンの合計リスク量
- どこまで逆行したら撤退するのかの基準ライン
の3です。
この3つが明確にできなければ絶対にナンピンはしてはいけません。
逆に、この3つをしっかりと明確にできるのであれば積極的にナンピンをしていくべきです。
何分割するのか?
何分割でエントリーをしていくのかは、エントリーする前に必ず決めて、最初に決めたルールを絶対に守ってください。
何分割するのかを決める上で大事なのが、『自分が戦う時間軸の明確化』です。
1分足でトレードしている人が5分割とかの計画をたてるのはあまり現実的ではありません。
時間軸が小さければ小さいほど、分割数は小さくなるのが基本です。
ここに目安を提示しておきます。
1~15分足 2分割
30~4時間足 3分割
日足~ 3分割以上
あくまでも目安なので、これが正解というわけではありませんが、きれいにナンピンするための基準として参考にしてもらえればと思います
平均取得単価を下げることの優位性
ナンピンをする最大のメリットが、平均取得単価を下げることです。
しっかりとエントリーする位置を分散させることによって、実際にエントリーできた価格というのが有利になっていきます。
ナンピンをする上で気をつけてもらいたいのが、きれいに玉を分割することです。
同じような位置でエントリーを重ねることは平均取得単価はほぼ変わらないので、優位性は低いです。
きれいに分割してエントリーすることを心がけてナンピンすることでナンピンの真の威力が発揮されるのです。
ナンピンの合計リスク量
ナンピンをする上で、最も大事なのがこの項目です。
合計リスク量が明確になっていないナンピンは必ず破産します。
必ずです。
1回あたりのトレードでの最大リスクは王道では2%以内と言われています。
この2%という数字は非常に良く出来ていて、基本は2%以内にリスクを抑えるのがいいです。
しかし、毎回リスクを2%で固定するかと言ったら、それはしないほうがいいです。
なぜなら、自分の得意な相場、不得意な相場や、その日の自分のトレードの調子など、様々な面でいろいろと違う中で、取る限界リスクの%が同じということは合理的ではありません。
私は自分の最も得意な相場環境のときは、限界リスクを3%にまで引き上げます。
そして、連敗が続いて調子が悪いときは、限界リスクを1%以内に抑えて、調子が戻るまで1%でトレードします。
その日その日によって自分のコンディションや相場環境が違う中で、リスクのみ一定の%で取るのは危険行為です。
限界リスク量は、相場と自分自身にしっかりと相談して柔軟に対応することが最も好ましいです。
自分のコンディションをしっかりと理解するためにも、トレードの日記作ることをおすすめします。
基本的には2%からプラマイ1%程度での調整がいいと思われます。
撤退するラインを決める
下手なナンピンと上手なナンピンを分ける境界線が、撤退するラインを予め決めているか?です。
撤退するラインをしっかりと明確にできれば、ナンピンを恐れる理由はどこにもありません。
撤退するラインの決め方ですが、これには正解はありません。
相場によって違います。
その基準としてよく使われるのが、フィボナッチリトレースメントです。
私はよく、フィボナッチリトレースメントの161.8%の少し下にストップラインを置きます。
応用として、161.8%のラインをローソク足の終値確定で抜いてきた時に損切りする方法もあります。
この場合、リスクが明確にならないので、慣れないうちはしっかりと最初に決めておくことをおすすめします。
ナンピンの具体的なやり方
ナンピンをする上で心がけてほしいことは、ナンピンのリズムです。
リズムとは、玉の間隔と玉の大きさです。
きれいに玉の間隔を開けて、下に行けば行くほど(買いの場合)玉のサイズを大きくすることを心がけてほしいです。
玉のサイズをどのようにして大きくしてくのか?の指標となる、昔の日本の相場師たちが使っていたナンピンのリズムがあります。
そのリズムが、2-3-5です。
2-3-5が何を表すのかというと、
まず最初に、ストップのサイズと資金量と自分の許容できるリスク%などから、最大で張れるポジションサイズを算出します。
試し玉として、最大で張れるロット数の20%を試し玉として相場に入ります。
そして、想定していたゾーンの中間くらいで反転のサインなどが出れば、最大で張れるロット数の30%を投下します。
最後に、自分が最も入りたいところで、残りの50%を投下するのです。
このリズムは、江戸時代から現代まで受け継がれて今もなお使える王道のナンピンのリズムです。
2-3-5のリズムで玉を分割してエントリーしていくことを心がけてください。
そして、玉の間隔をきれいに開けるのに最も有効なテクニカル指標がフィボナッチ・リトレースメントです。
機関投資家たちがショートカバーをする目安として最も使われているテクニカル指標がフィボナッチ・リトレースメントといわれています。
フィボナッチリトレースメントの38.2%、61.8%、100%の3分割と、100%、138.2%、161.8%の3分割の、2つの分割エントリーパターンは、非常に綺麗に資金を分散させてエントリーできる優れた指標です。
このように、フィボナッチラインでのプライスアクションを見てナンピンをしていくのが理想です。(プライスアクションについてはコチラの記事を見てください)
フィボナッチレベルで、2-3-5のリズムでのプライスアクションを考慮したナンピンが、私のトレードの全てと言っても過言ではないです。
そして、絶対にやってはいけないことが、2-3-5の順番を破ることです。
並び順は、絶対に2-3-5の順番でなければなりません。
2-3までしか入れない相場状況だったら、2-3で基本は止めるべきです。
間違っても2-3よりも上のラインで5を入れてはいけません。
一番大きな玉の5の位置が他の玉よりも上にあると、少しの逆行で損益が一気にマイナスになります。平均建値が高いためです。
ナンピンの最大の目的は、平均建値を下げることです。
平均建値を上げるようなことは絶対にしてはいけません。
ピンポイントでのエントリーとゾーンでのエントリー、トレーダーはどちらのほうが心理的負担が小さいでしょうか?
健全な心は健全なトレードを生みます。
エントリーしてから祈ることしか出来ずに、損切りラインに引っかかるまでビクビクしながらトレードしていては、健全な心は生まれません。
健全な心を維持するためにも、まずは小さい玉で相場に入る癖をつけましょう。
まとめ
- 相場において一点張りは論外!必ず分割エントリーをすること。
- エントリーポイントをゾーンで考えて、そのゾーンの中で積極的にナンピンをしていく。
- ナンピンをする前に、必ず合計リスク量、何分割するのか?、撤退するラインを明確にすること。
- 上記3つが明確になっているナンピンはなにも恐れる必要はない!自信を持ってエントリーすること。
- 我々はあくまでも裁量トレーダーであり、自動売買では介入できないステージで戦うことを意識する。
- 2-3-5のリズムでフィボナッチレベルを使ったナンピンを習得する。